江戸時代から百余年—
黒田藩の棟梁大工から今に至る
桑野組は江戸時代から代々、福岡の地で大工を商いとしてまいりました。
黒田藩の大工衆をたばねる棟梁大工として福岡城の建築に携わってから百余年。大工職人の技を長きにわたって継承し続けてきました。
受け継いできた確かな技術力と「安全で安心して暮らせる家づくり」を基本とし日々現場に立っております。
江戸時代 〜 明治・大正時代
桒野家(くわのけ)は代々、大工職人として家業を継いできました。6代藩主黒田継高が造った「友泉亭(ゆうせんてい)」の建て替えに私たちの先祖が携わったことが、立札の記名にて発見されています。
かつて福岡城建設にも携わり、現在も桒野家の本籍地は、その大工たちの居住区であった「大工町」(現在の中央区大手門界隈)の付近であることも私たちのルーツです。
昭和25年頃、職人集団として。
「有限会社 桑野組」の先駆けとなる職人集団を取りまとめていたのが先々代です。先々代のもとで、先代は中学を卒業してすぐに大工として修業を始めました。
木挽き職人によって丸太を材木にしていた時代
戦後すぐの世の中は製材機械が普及しておらず、木挽き(こびき)の技術がまだまだ現役でした。当時、既にいち早く最新製材機械を導入し、生産性を上げつつも職人たちの手仕事も起用していた先々代。
技術を大切にしつつもお客様のために早い仕事をするという考えが弊社にも受け継がれています。
手作業で地固めを行う『ヨイトマケ』
現在ではほとんど耳にしない「ヨイトマケ」。縄で重い槌(つち)を引いては落とし、手作業で地固めを行っていた様子です。
土だらけになって大きな掛け声で力仕事をする強い女性たちの記録です。弊社では、長くから女性社員たちも同等に活躍する環境を築いてきました。性別関係なく、真摯に仕事に打ち込む人材を大切にしております。
大工が図板を用いて現場を管理していた時代
棟梁大工であった先々代の時代は図板(ずいた)を用いて打ち合わせをおこなっていました。
現在はほとんど見かけなくなった図板。設計士が作成した平面図をもとに、大工自身が板の上に図面を作り、材料に墨付けを行います。
この時に大工たちは家の空間と材料の加工過程、組み立て完成までをイメージします。図板をもとに頭の中で空間図をつくるという事です。
弊社のベテラン大工もかつてはこの図板を作成し家を建て上げていました。プレカット工法の普及により図板を作る必要は無くなりましたが、大工一人一人が「家を建てる」という大きな責任感を持つことを若い世代にも伝えております。
先代が20代の頃の上棟式
この当時は、ヘルメットもハーネスも無く、足場も最小限です。
昔の大工職人は身体能力も高く、その上頭の回転が早くなければ家づくりは大変厳しいものでした。
現在では安全面に考慮した仕事環境を保つことが法律で定められています。
棟上げ後の昼食で安全祈願
棟上げが終わると、棟梁大工を先頭にすべての職人で囲んで昼食を取ります。大きな新築の家となると総工事期間と人手の数がたくさんかかります。
安全にすべての工程が執り行われるよう、安全祈願と職人同士のコミュニケーションも兼ねて、食事を共にします。
昭和42年「有限会社 桑野組」を設立
棟梁大工が社長となり、現在の「現場第一」の理念が形成されました。
社長になってからも大工として建設現場に赴き、自ら動くことで職人たちを引っ張ってきました。
古材の再利用でアパート建築
先代が古材を自ら手で加工し再利用してアパートを建てている様子です。現在の社屋がある場所に建っていました。
後ろに見える建物は、現在は弊社でリノベーションをした古民家カフェとして時代を超えて利用しております。
現場が遊び場となっていた幼き日の現社長
桑野組で生まれた子どもたちは現場が遊び場でした。弊社社長も小さいころから職人たちと関わり、棟梁大工であった先代の父に様々なことを教わりました。
現場第一で働くことを誰よりもこだわっているのは、伝統技術の継承は現場でのコミュニケーションによって生まれることを知っているからです。
平成5年頃 桑野組の社屋を建設
現在の社屋建設のための地鎮祭の様子です。今から30年ほど前の写真です。社屋を建てると同時に世代交代の準備も始まりました。
製材の機械を入れ、事務所と倉庫を大きく広げました。実際、この当時は今の5倍の数、大工職人を抱えておりました。
職人を束ねることの難しさや、時代の移り変わり、社会的な不景気などの困難に耐え、今の社長へと受け継がれました。
平成5年頃 腕利きの職人たち
帽子を被った大工は今では大ベテランの桑野組の棟梁となりました。70歳を超えた今も現役の職人です。
弊社の社長は大工職人ではありません。しかし、自分が大工ではないからこそ、先祖たちが見聞と技術で伝えてきたものへの畏敬の念を持って仕事に向き合っております。彼らのような腕利きの職人たちへのリスペクトがあるからこそ現場第一の考えを強く提唱しております。
そして、現在。
桑野組の従業員と関係業者を集めて安全大会を開きました。
現代において、分業と機械化が進み建築工事が簡略化されていき、働く人同士のコミュニケーション不足によるトラブルなどが浮き彫りになってきました。
かつてのようにすべての職人、業者が顔を合わせて仕事に向けて一致団結する良い機会となりました。
伝統を継承しつつ、時代を見極め変化
桑野組は伝統と技術の会社です。
普遍的で守り伝え継承していくこと、時代と共に変わっていかなければならないことを、社員一同常に見極めております。
過去の実績に驕らず、いつまでも誠実にお客様に寄り添った仕事に取り組んでまいります。